ノイズゲートとは

ノイズゲートについて

時間をかけて丁寧に録音したはずの大切なトラックに、どこからともなく現れる不快な「ノイズ」。

そもそも音楽作品は、このノイズにジャマされることなくクリーンで透き通ったものでなければなりません。

それぞれのトラックが、楽曲の中で存在感を確立できるように、細心の注意を払って録音するべきなのです。

しかしそのような汗と涙の結晶をいとも簡単に壊してくれるのがノイズです。

オーディオ信号に入ってしまったノイズはレコーディングの妨げになるやっかいな悪者になるのは、言うまでもないでしょう。

高品質な楽曲をミックスするために、クリーンなオーディオ信号で録音したい。

ではどのようにこの不快なノイズを取り除くことができるのか?

その答えは、「ノイズゲート」です。

このノイズゲートを正しく使えば、ノイズを初めとした不快な音をトラックから除去することができます。

ここからは、ノイズゲートを細かく見ていきましょう。

ノイズゲートとは

ノイズゲート「ゲート」とも呼ばれることがあります。

ノイズゲートは、ダイナミック系エフェクトで音声信号の音量をコントロールするものです。

ノイズゲートは、対象とするオーディオ信号の音量がスレッショルド(しきい値)より低い場合に、その音量を抑え込み、ゲートを閉じ音を遮断します。

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ノイズゲートの基本

ノイズゲートの役割は、オーディオ信号を通過させるか、完全にブロックしてオーディオ信号を遮断し、ゼロにするかの二択しかありません。

中途半端に音量を下げるという目的では使用しないので、まずはそこをおさえておきましょう。

次に、実際の門(ゲート)のようなものを思い浮かべてみて下さい。

門(ゲート)が開いているときは、そこに何も無いときと同じようにオーディオ信号が流れなければなりません。

でも門が閉まると、オーディオ信号は全くそこを通り抜けることができなくなります。

その門(ゲート)は、流れているオーディオ信号のボリュームレベルを感知して、指定したレベル(Threshold)よりも上回っている時のみゲートを開くという単純な仕組みです。

Thresholdと言う言葉が出てきましたが、Thresholdと言うのはしきい値(指定した値)を下回る音を遮断し、上回る音を通過させる、言わば『関所』のような存在になります。

このThresholdというパラメータに加えて、ほとんどのノイズゲートにはDecayというパラメータがセットになっています。

Decayとは、ゲートの閉じる速さを設定するもので、音をピタリと止めて閉じるのか、ゆっくりとゲートを閉じるのかを調整します。

更に、Holdというパラメータが設定できるノイズゲートもあります。

Holdを使えば、オーディオ信号のボリュームがThresholdを下回っても、しばらくの間、ゲートが開いたままになるため、音を遮断せずに維持できます。

ThresholdのOpenとClose

ノイズゲートの種類によっては、二つのThreshold で、OpenとCloseが設けられている機種もあります。

ゲートが開いている状態では、ゲートはCloseのThresholdだけをみて、閉じるかの判断をします。

逆に閉じているときは、OpenのThresholdだけをみてゲートを開けるか判断します。

この機能、結構つかえます。

と言うのも、一つしかThresholdが無いノイズゲートは、ゲートが閉じる際に音が途切れ途切れになることがあります。

ギターなどを弾いた時に、オーバードライブなどがギター信号にかかっている場合に、良く耳にします。

ジャーーアッアッアッアッというように、ゲートが閉じたり開いたりを繰り返して、音がそのようになります。

そこで、OpenとCloseの二つのThresholdがそれぞれ用意されていると、数dBの差を開けて置くことができます。

これで、ノイズゲートによるレベル差での音の途切れを解消できるようになるわけです。

ノイズゲートの配置

ノイズゲートを配置する場所は何処がベストなのでしょうか?

最も効果的な場所は一番初めに適用するのがベストです。

ほとんどのノイズは、入口部分(信号が入ってきた時)から出ているからです。

もし仮に、ノイズゲートでノイズをカットせずにコンプレッサーなどをかけた場合、ノイズの信号までレベルが持ち上がります。

そうすると、今まで聞こえていなかったノイズが、とても大きな音に聞こえるようになります。

ノイズゲートをディストーションなどの後に配置しても設定するのが難しいだけでなく、ノイズも一緒に大きくなるので、最初に適用するようにしましょう。

設定の仕方

まずスタート地点として、ゲートは特別な効果をねらう以外は、直列に接続しましょう。

センド・リターンなどは使わずに、インサートとしてトラックにそのまま直接ゲートを接続します。

次に、HoldとReleaseがある機種では、HoldとReleaseを0msにしましょう。

Thresholdは-70dBくらいに設定します。

これくらいの設定であれば、簡単にゲートが開き、何も弾いてないときはゲートが閉じるレベル設定になります。

ギターで何も弾いてないのにゲートが閉じないようであれば、Thresholdの値をゲートが閉じるところまであげます。

ゲートが閉じて無音になったら、今度は少しの音でゲートが開いてしまわないかを確認してみます。

弦を軽く叩いたり、弦から指を離したりします。

もし、少しでもゲートが開くようなら、Thresholdの値を上げていきます。

正しくThresholdを設定できたら、つぎは、ギターを弾く時に最小の力で弦を弾いてみましょう。

ここでゲートが開くかを確認します。

ゲートが開かない場合は、微調整をして、ゲートが開くようにします。

Attackの設定の調整をします。

ゲートがなめらかに開くまでAttack値を上げていきます。

対象の音が綺麗に取り出されるのを確認するのが目的です。

音の最初の出だし部分だけにゲートをかけ、綺麗に音がたちあがるように集中します。

Holdの設定はゲートが開いた状態を維持する時間を調整します。

音の全体像が見えるまで、Hold値を上げます。

途中で変に音が切れていないか確認しながら設定します。

そして同時に、その音のキャラクターや、クオリティーが得られるよう調整します。

慣れるまで練習が必要になりますが、慣れたら簡単な作業になります。

また、テンプレート化しておくと良いかもしれませんね。

Releaseはゲートをなめらかに閉じた状態に切り替るためのパラメータになります。

音が途中で変に切れる事がないように注意して調整していきます。

スムーズに音がフェードアウトして消えるようになるまでRelease値を上げていきます。

次の音の立ち上がりを邪魔しているようであれば、微調整をして、次の音の立ち上がりを確認していきます。

ノイズゲートのまとめ

今回はノイズゲートというエフェクトを確認してきました。

各パラメータの使い方や設定方法も見てきましたが、これで設定しないといけないわけではありません。

自分なりの設定方法をいろいろためしてみて、使い方を覚えるのもいいでしょう。

機種ごとにノイズゲートのパラメータは変わりますが、使い方はどの機種でも同じですので、基本パラメータを覚えて使いこなしましょう。

それではまた。

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