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ベースの音作りレシピを始める前に

ベースはバンドのリズムを作り、コード感を出す、非常に重要なパートになります。
ギターのように高音域で前に出るような音ではないですが、ベースの音作り一つでバンドの雰囲気がガラッとかわります。
また、全体の音が締まって聴こえるようになります。
ベースのいい音の基準は、❶太い音で鳴る事と、❷ベースの音が抜ける音になります。
この2つに気をつけながらベースの音作りをしてみると良いのではないでしょうか。
それでは、そんなベースの音作りをみていきましょう!
ベースで音を作る前に、知っておかなければいけないことがあります。
それは、ベース単体で音を作らないと言うことです。

ベース単体で、音作りをしてしまうと、全体の音を出したときにベースが埋もれてしまったり、その逆で出過ぎてしまったりすることがあります。
こうなると、曲全体のバランスが崩れることになるので、全体を聴きながら音を作っていくようにしましょう。
人間の聞こえる周波数帯域

人間の耳に聞こえる周波数帯域は、だいたい20Hz~20KHzまでの可聴域と呼ばれる、音を聞いて感じる事のできる帯域があります。
バンドでは、この帯域をそれぞれの楽器で均等に鳴らすことで、迫力がある楽曲となります。
他の楽器の足りないところを補い、被っているところを削ることが重要になります。
音作りの手順
ベースの音作りをするときは、何でもかんでもツマミをさわって音を出すということはNGです。
正しい手順でさわりながら、音の特徴を掴み、少しずつ音作りをしていきましょう。
ここからは、ベースの音作りの基礎となる手順について見ていきます。
この音を基本に考えていきます。
何度も言いますが、音によって周波数特性は変わってきます。
自分が演奏している音が次に紹介するアナライザーを通したときに、どのような周波数帯域かを確認してみてください。
アナライザーを開ける
周波数を確認しながら音を作っていくので、まずはアナライザーを設定していきます。
Logic Proや GarageBand付属のアナライザーを使うのであれば、チャンネルEQやマルチメータで確認するといいでしょう。


エフェクトプラグインのアナライザーを用意して、周波数を確認します。今回のこのベース音の周波数は上のようになっています。
そのときに注意することは、単体の音と全ての音の周波数を確認できるように、マスタートラックにアナライザーを挿すようにして下さい。
これで、ベースの音と全体の音の周波数を確認しながら音作りをすることができます。
※ベースの音によっても周波数は変わってきます。
ボリュームを0にする
使いたいベースアンプを用意します。今回はLogic 付属のベースアンプを使います。

ハードのアンプでも、プラグインのアンプでも基本的な設定は同じになるので、プラグインのアンプで話を進めて行きます。
ハードのベースアンプの場合には、ボリュームが上がっている状態でベースを接続すると、大きな破裂音が出て機材が壊れてしまいます。
必ず使用する前にボリュームが0になっていることを確認して音作りをしていきます。
次にベースをアンプに接続、または、オーディオインターフェースに接続します。
ベース本体側のボリュームは全開に上げます。

ベース本体のボリュームが0になっていると、どれだけベースアンプのボリュームを上げても音は出ないので注意してください。
これでベースの音を出す準備ができました。
アンプのツマミをフラットにする

ボリューム以外のツマミを全てフラットにします。
ツマミ位置を時計で例えるなら12時の位置に設定します。
ここでツマミを極端な数値にしてしまったりバラバラにしてしまうと、
何をどうすればいいのかが分からなくなり、迷路から出られないことになるので気をつけましょう。
ここでベースを弾いてみて、低音が足りないと思えばBASSを上げます。高音が足りなければTREBLEを上げるという感じで音を作っていきます。
ドラムのキックの周波数と被らないように調整していきましょう。
音のボリュームを上げる

アンプの電源が入った状態で、徐々にアンプ側のボリュームを上げていきます。
ベースアンプの種類によっては、ゲインコントロールとマスターボリュームの2つのツマミが付いているアンプもあります。
その際はまずゲインコントロールを時計で例えると12時〜15時くらいのところに合わせて、次にボリュームツマミを徐々に上げていきます。
最後にもう一度ゲインツマミで微調整しベースの音量がミックスバランスに最適になるまで調整すれば完了です。
アンプの各パラメータ設定
アンプのゲインとボリュームの設定が終わると、次はアンプの各パラメータを設定していきます。
アンプの種類ごとに、ツマミの種類が変わってきますので、基本的なツマミを解説していきます。
ツマミを左に回すとカットになり、右に回すとブーストになるという前提で話を進めます。
カットは周波数を下げる目的で使い、ブーストは周波数を上げる目的で使います。
BASS(低音域)の調整

低音域は、エレキベースでは最も重要な音域になります。
太い音を作り出し、低域のバランスが崩れないようにすることが重要になります。
BASSツマミを上げていくことで低域が強調され、重く太い音を作ることができます。
ただし、上げ過ぎるとモコモコしたりこもる原因になります。
カットすると痩せた細い音になるので注意が必要です。
周波数特性 20Hz-250Hz
20~40Hz
聴覚では感じにくく圧迫感があるため、カット方向で調整します。
40~60Hz
バスドラムとの兼ね合いで調整します。
60~100Hz
身体の芯に響くような低音を感じられる帯域です。
100~250Hz
あたたかみや厚みのある低音を感じられる帯域です。
MIDDLE(中音域)の調節

中音域は非常に各楽器の周波数が集まる帯域になります。
バンドでは、この帯域の処理の仕方で、音の抜けが良くなったり悪くなったりします。
中音域は、自分の音が他の楽器の音に埋もれないように調整します。
上げすぎるとモコモコした輪郭がぼやけた音になるので、他の楽器と聴き比べながら調整していきましょう。
スラップ時やドンシャリならカットすることで音が引っ込みます。
周波数帯域250Hz-1.5kHz
250~400Hz
ローミッドの音抜けやキャラ付けに重要な帯域になります。
400~600Hz
こもりがちな音で、ここらへんをカットするとドンシャリになります。
ミドル帯域です。
600Hz~1.5kHz
ハイミッドの帯域で、男性ボーカルに被りやすい明るい音の帯域となります。
TREBLE(高音域)の調節

高音域はきらびやかに音作りする重要な帯域になります。
ベース音では、高域が無いと思われている方もいますが、高音域もベースにはあります。
高域を上げていくことで、ベース音の輪郭がはっきりしてきます。
ベースを叩いて弾くスラップ奏法の際に上げると、高域が強調され、迫力ある音をつけることができます。
ただ、上げすぎてしまうと耳には痛い音になり、バランスが崩れるので注意してください。
周波数帯域1.5kHz-5kHZ
1.5~3kHz
フレットノイズがのりやすい帯域になります。また、女性ボーカルと被りやすい帯域でもあります。スラップなどを演奏する人は、この帯域をブーストします。
3~5kHz
金属音のような耳につきやすい音になります。
トレブルより高い帯域としてプレゼンス(PRESENCE)ツマミが付いていることもあります。
代表的なサウンド

全てのツマミをセンター(12時)の位置に合わせることで、ベース本来の音になります。
音作りをするときには、この設定から始めます。
ドンシャリ系の音作り

ベースやギターの音作りで、よく表現される音に「ドンシャリ」と呼ばれるサウンドがあります。
この音は、低域はズンと鳴り、高域はシャリシャリの音がするためどちらかと言うとバキバキな音になります。
中音域を削ることで、そのような音にすることができます。
パンクバンドなどのベースでドンシャリ気味に音を作ると、マーシャルで歪ませた音と合い、バランスよくサウンドを作ることができます。
設定方法は、低音域と高音域を上げて中音域を下げることで設定できます。
抜けのいい音

抜けの良い音とは、バンドのなかでも埋もれない音のことを言います。
これは、単純に中音域を上げることで解決しますが、この中音域と言うのはその他の楽器も結構必要な帯域になるため、競合してきます。
音の輪郭をハッキリさせるためにも、他の楽器との調和をはかっていく必要があります。
特にギターが2本以上あるような楽器の多いバンドでは、抜けのいい音を意識して作り込み、中音域が混雑しない設定にする必要が出てきます。
全体のバランスを考えてベースの音を決めていきましょう。
中低音をブーストサウンド

低音と中音を上げて、高音を下げたセッティングになります。
モコモコした丸いサウンドになり、指弾きなどで暖かい音を出したい時にセッティングします。
高音域ブーストサウンド

ベース、ミドルのツマミは12時に合わせ、トレブルをブーストします。
音の輪郭がはっきりし、ベース音を際立たせることができます。
ただ、トレブルを上げすぎると、耳障りな音になるので注意してください。
イコライザのセッティング

アンプに付いているツマミは低音域、中音域、高音域の3種類のみで構成されていて、帯域を細かく調整することができません。
これを細かく設定していくためには、イコライザというエフェクトを使用します。
ここからは、イコライザの役割とメリット・デメリットについて解説します。
イコライザとは
イコライザは特定の周波数帯域をブーストしたりカットすることができるエフェクトになり、音を均すと言う意味があります。
さらにイコライザを使うことで、細かい音作りが可能となります。
イコライザは基本的にカット方向(音を削る)で使用するのが良いでしょう。
ブースト(音を上げる)方向で使用すると、ベースの音が破綻してしまうリスクがあります。
また、出ていない帯域をいくらイコライザでブーストしても、無いものを上げることはできません。
イコライザの種類
イコライザには「パラメトリックイコライザ」と「グラフィックイコライザ」の2種類があります。
この二つのイコライザをどういう風に使っていくのか。
そのメリット・デメリットと共にみていきましょう。
パラメトリックイコライザとは

パラメトリックイコライザ(略してパライコ)はLOW、MIDDLE、HIGH、FREQUENCYツマミに分かれてるので、それをそれぞれ調整して音を作っていくことになります。
FREQUENCY(フリークェンシー)はカットオフに関係してくる値になるのでFREQUENCY(フリークェンシー)で設定した値より下、または上の周波数をカット(音を削る)させることができます。
パラメトリックイコライザの良いところ
ツマミの数が少なく直感的にいじることができるので、音作りがやり易いです。
また、初心者でもある程度好みの音を見つけることができ、難しいことを考えなくても良くなっています。
音の劣化も少ないのが良いですね。
パラメトリックイコライザの悪いところ
狙った帯域をピンポイントで設定できないため、周波数の調整が難いところです。
グラフィックイコライザーとは

グラフィックイコライザー(略してグライコ)とは、主にHz(ヘルツ)やKHz(キロヘルツ)の周波数の単位で低音域や中音域、高音域の周波数を調整することができます。
ベースアンプに備えつけられているタイプもあるので、見る機会は多いかもしれませんね。
グラフィックイコライザの良いところ
グライコは低音域から高音域まで周波数帯ごとにツマミが並んでいるので、調節したい帯域を狙って調整することができます。
設定方法なども、情報がたくさんあるため、比較的簡単に設定できるでしょう。
グラフィックイコライザの悪いところ
初心者には少し扱うのが難しいでしょう。
ツマミが多い分どの帯域でどんな音が鳴っているかを感じとれる耳も必要になってきます。
そのため、適当に周波数をいじってしまうと、音が破綻してしまう原因になります。
先程も言いましたが、情報がかなり出ているので調整するのは同じようにしても良いかもしれませんが、使っている音によって、若干変わってきます。
例えば、同じベースの音でも、奏法やベースの種類などが違うと、設定も変わってきます。
あまり鵜呑みにせずに、自分なりの設定をして下さい。
音作りのテクニック
アンプやエフェクター、プラグインなどでベースの音作りをしていくには、どのようなことに注意しなければいけないのか?
その他のテクニックをみていきましょう。
アンプの向きやマイキング位置、アンプを置く場所をかえてみる
スタジオで練習している場合、アンプの向きやアンプを置く場所によって、収録できる音が変わってきます。
また、マイキングのやり方一つでも音が変化するため、マイクの置く位置も重要になってきます。
設定場所を変更しながら、録音したベースの音を聴き、確かめていきましょう。
プラグインエフェクトの中には、アンプやマイクを変更したりすることができるシミュレーターなどもありますので、使ってみても面白いかもしれませんね。
ブーストに気をつける
音作りをしていると、どうしても足りない音を上げてしまい、今まで聴こえていた帯域が聴こえなくなったため、また違う帯域を上げて…。とブースト方向で調整してしまいます。
そのように調節してしまうと、いつの間にかブーストしすぎてしまって、全体の音が上がり、ミックスバランスが崩れてしまいます。
過度なブーストは避けて、上げる方向ではなく、カット(下げる)方向で調整していきましょう。
例えば、『ミッドの音が足りていないのであれば、ローとハイを削ってミッドを出す』のように、発想の転換をしていきましょう。
ピッキングの位置を変えて弾いてみる
エレキベースの音は、弾いた弦の振動をベースに取り付けられたピックアップが拾い、シールドを伝ってアンプへと出力され、その信号がスピーカーに行き音を出します。
そのため、ピッキングをする位置が変わればピックアップが拾う信号も変わってきます。
弦を弾く強さや弱さなども音に影響がありますし、ネック寄りかピックアップ寄りかにすることでも変わってきます。
自分の楽曲に合う奏法を選び、音を録音してみてください。
キックと帯域を分ける
ベースの帯域と最も近い音を出すのがドラムのキック(バスドラム)です。
キックはベースと共にバンドサウンドの重低音を支え、その曲の土台になります。
キックとベースのぶつかる帯域に注意して調整します。
バスドラムと帯域がかぶってしまうと、低音がぶつかり音の輪郭が無くなり、モワッとした音になります。
バスドラム側で調整もできますが、なるべくベース側で調整しましょう!
ベースでのマスキング効果
同時に異なる二つの音波が耳に届くとき、弱い音波は強い音波に打ち消されてしまいます。
これをマスキング効果といいます。
マスキング効果は、周波数依存性があり、信号音波の周波数と雑音の周波数が近いほど、マスキング効果は大きくなります。
小さい音が単純に、大きい音にかき消されることがあります。例えば、ライブ会場で、話し声がかき消され聞こえないなど、経験があるでしょう。
しかし、そこまで音量差がなくても、周波数(Hz)が近い音同士では、「マスキング」によって打ち消されてしまうのです。
バンドでも、このマスキングを意識した音作りをできるかどうかで、バンド全体のクオリティが変わってきます。
ベースの音作りレシピまとめ
今回はベースの音作りについて解説してきました。
バンドの中ではあまり目立たない存在ですが、バンドには無くてはならない存在でもあります。
バンドの重低音をバスドラムと共に支え、グルーブを出すベースは、出す音によって、楽曲の出来栄えがかなり変わってきます。
ベースの音作りをいろいろ試し、自分の楽曲に最適なベース音をつくってみてください。
それでは、また。
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