イコライザ(EQ)を使用すると、特定の周波数を削ることが(カット)できたり、特定の帯域を増やす(ブースト)ことができます。
本日は、このイコライザについて解説していきます。
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イコライザの前に周波数の知識を知る
音の高さを表す単位が周波数で、Hz(ヘルツ)で表記します。イコライザを使うにあたって、周波数は切っても切れない関係になります。
それに、周波数を理解すると、音楽が健康になり生き生きした音楽になってくれるのです。
楽器の個別の音を作ったり、聴きやすいミックスができたり、バランスが良い音で再生できたりと。
周波数を知っていれば、この様にクオリティが上がります。また、周波数を楽器別に解説した記事を、いずれ書きますので、それまで楽しみにしておいて下さい。
イコライザとは
イコライザ(以下EQと言います)とは、特定の周波数を上げたり下げたりすることができるプラグインエフェクトで、EQの使い方次第で、音楽が良くも悪くもなってしまいます。
最近のEQは、アナライザー(音の周波数)を見ながら編集できるので、非常に便利になっています。
EQを使用する目的は、楽器の音色で欲しい帯域を増減させて音を変化させたり、ミックス時に被っている帯域をカットし、音をきれいに混ぜる為に使用します。
EQの教科書で、この帯域をブースト(増やす)や、この帯域をカット(減らす)して下さい。的に書いている本がありますが、EQは耳で聞いて初めてこの帯域をカットしよう!とかブーストしよう!って決めますので、ピンポイントで帯域を書いている本はあまり当てになりません。
自分も何冊か本を持っていますが、あまりあてになっていません。
なので、EQを使用するときは、自分の耳を信じてイコライジングしていきましょう。
EQバンドボタン
EQの各種ボタン
EQバンドは画面上にある8つの独立した色分けされたボタンになります。
左のボタンから、ハイパスフィルター、低シェルビングフィルター、ベルフィルター、高シェルビングフィルター、ローパスフィルターとなります。
ハイパスフィルター・ローカット
このハイパスフィルターをオンにすると、ローカットが可能となります。ハイを通すため、ローをカットできます。(少しややこしいですが)
このボタンを何に使用するかというと、シンバルのいらない低域をスッキリさせるために使用したり、バスやベースでも聞こえない帯域を削ることで、楽曲全体をスッキリさせることができます。
①でハイパスフィルターを押します。
②の赤丸を左右に動かすか、③Frequencyの数値を上下に動かすことで、周波数を設定できます。
④のSlopeでなだらかにカットするか、急激にカットするかを決めることができます。
⑤Q幅の値を変更することができます。
低シェルビングフィルター
低シェルビングフィルターは、ある帯域から均等にカットしたりブーストするのに使用します。
低い周波数をカット、ブーストできるので低域全体を調整するのに役立ちます。
①で低シェルビングフィルターを選択します。
②のオレンジボタンをクリックし、左右に移動させるとフリークエンシーを変更することができます。
③のフリークエンシーを上下させることでも変更することができます。
④のGainで、シェルビングのカット・ブーストの量を変更することができます。
⑤Qでなだらかにカットやブーストをするのか、急激にするのかを決定します。
ベルフィルター
ベルフィルター(バンドパスフィルタ)も操作はハイパスやシェルビングと同じです。
ベルフィルターの使い方ですが狙った帯域をカット・ブーストすることでも使用しますが、Qの幅を極端に小さくしゲインを極限まで上げることで、その楽器が持ついらない帯域を見つけることができます。
やり方はカンタンです。
①のベルフィルターを選択します。
⑤のQ幅を最大にします。そうすることで、ごく細のベルを作ることができます。
④のゲインを最大にします。これでピンポイントの音を確認することができます。
③のフリーケンシーを動かすか、②の黄色丸を左右に動かすことで、いらない帯域をさがす準備ができました。
低域から高域までゆっくりと動かすことで、『モンモン』や『ポンポン』『キンキン』など耳障りな音がなる箇所を探します。
いらない箇所が決まれば、ゲインを下げます。今回は『キンキン』なっている場所を探し5dBほどカットしました。
こうすることでスッキリとした単体の楽器音を鳴らすことができます。
この他にも気になる音があれば同じようにカットしていきます。
高シェルビングフィルター
高シェルビングフイルターも、低シェルビングフィルターと使い方は同じになります。
高シェルビングフィルターは高域のシェルビングを行います。
ローパスフィルター・ハイカット
ローパスフィルターは、ローを通過させるためハイを削ります。なのでハイカットになります。
使い方はハイパスフィルターと同じになりますので、さわってみてください。
ローパスを使うメリットは、高域がいらない楽器の周波数をカットすることで、楽曲全体のまとまりが出てきます。
スペクトラム・アナライザー
EQエフェクトには、スペクトラム・アナライザーという周波数分布を確認できる機能が付いているEQがあります。
この周波数の出方を見ることで、誰でも音の周波数を確認できるため、調整がものすごく楽になります。
EQにアナライザーが搭載されたプラグインエフェクトです。OzoneのEQになります。
Logic Pro 付属のエフェクトでもアナライザーを搭載したLinear Phase EQ、Channel EQなどがあります。
倍音
倍音とはなんでしょうか?これもEQを使用する時に意識しないといけないことになります。
ギターの5弦解放を鳴らすと、(A音)を鳴らしたことになり、この周波数が110Hzになります。この110Hzが基音(きおん)もとの音になります。
そして、基音の上にあるのが倍音ということになります。
倍音は、音をかなでるものであれば全てに倍音が含まれています。
約1オクターブ上に第2倍音。220Hzあたり。
その上の第3倍音。330Hzあたり。
その上の第4倍音。440Hzあたりという具合です。
この倍音が音圧や音色を決め、楽曲全体の聴いた感じを決めていきます。
重要なピンクノイズを知ろう
ピンクノイズとは、昔テレビを見ていて寝てしまった時に、夜中にテレビが終わり『ざー』っていう画面に出てくる砂嵐みたいな画像と共に流れてくるあの音です。今もあるのかな?
まあ、それがピンクノイズというものです。
ホワイトノイズが均等にノイズが出るのに比べて、ピンクノイズは斜め下にノイズが広がります。とてもバランスがとれたノイズということになります。
EQを知るのに最も効果的な方法は、ピンクノイズを使用して、その周波数を基本に考えるということです。
このピンクノイズは、EQを理解する上ではとても重要になってきます。
先ほども言った様に、あらゆる解説本に『キックの周波数はこうなるため、この周波数帯域を何dBあげて〜なんちゃら〜』と書いている本がありますが、この本を信用してその帯域を上げると『なんじゃこりゃ〜』みたいな音になったりします。
それは、このピンクノイズがそのEQではどうなっていたか?というのが記載されていないため、自分の持っているEQと比較ができないからです。
EQによっても、種類があり、その中でも使うEQによって持っている特殊能力が違います。
同じ音を鳴らしてもアナライザーでの見え方が違うということですね。
WAVESのREQで見たピンクノイズの見え方です。
Logic付属のChannel EQで見るピンクノイズの周波数です。REQと形が違うのが分かります。
ミックスの最終形も、このピンクノイズの周波数のように、右下がりの周波数が理想と言えます。
ミックス作業をするときは、この周波数の形を目指しましょう。
また、EQを使用する上で一番大事なことは、自分の耳で聞いて音を判断するということです。
これは簡単な様で、難しいのですがある程度耳で覚えておくと調整が出来る様になってきます。
書籍を信じてはいけません。自分の耳を信じましょう。
ではピンクノイズはどう使用するか。解説しましょう。
ピンクノイズの使い方
レコーディングした楽器がドラム、ギター、ベース、ボーカルのいわゆるロックバンド的な音楽の場合、全ての音をミックスした周波数をアナライザーで確認し、ピンクノイズの周波数の形に近づいていたら、ミックスはちょうど良いバランスになっているはずです。
ピンクノイズを使用すると、ミックスだけではなくEQの種類による特性を知れたり、ヘッドホンやスピーカーでミックス作業ができない時の周波数確認用に使用したりと、使い方はいろいろありますので、このピンクノイズを極めてみてください。
Logic Proでピンクノイズを聞くためには、プラグインを使用します。
①プラグインを選択して
②Utiltyの中の
③Test Oscillatorを選びます。ステレオやデュアルモノどちらでもOKです。
するとこのプラグインエフェクトが出てきますので、この中のピンクノイズを選択するとピンクノイズが流れます。
このノイズを聞きながら調整していくことになります。
ピンクノイズを録音する
次にピンクノイズを録音していきましょう。
オプションから新規オグジュアリー・チャンネル・ストリップを作成を選びます。
Aux1チャンネルが出てきますので、このチャンネルを使用します。
このチャンネルのSt Outというところを①左クリックし、②Bus1を選択します。
横に新たに③トラックができますが、気持ちよく削除して下さい!!
Aux1のフェーダーは下げたままでOKです。あとで上げますから。(黄色のトラックです)
Aux1にピンクノイズの使い方で説明したプラグインTest Oscillatorを挿入します。(黄色の方です)
オーディオのインプットをBus1に設定します。これで①Aux1からオーディオ1にピンクノイズの音が流れます。
②のモニターボタンをオンにします。これで音が聞こえます。
最後にAux1のフェーダーを上げましょう。するとBusで結んだオーディオトラックにピンクノイズが流れます。このオーディオトラックの音を鳴らしながら録音ボタンを押し、録音するとピンクノイズの音が録音できるようになります。
Logic Proの既存EQ
Logicには、初めからイコライザが出来る様に無料でプラグインが入っています。
Logicに入っている最もシンプルなEQはシングルバンドEQです。また、Channel EQはミックス時には一番使用するEQになります。
Linear Phase EQは先ほどのChannel EQと違い、オーディオ信号の位相は保持されます。そのため急激に変化させても位相は崩れません。
Match EQはアルバムに収録する複数の曲の音質、全体的なサウンドを統一したりすることができるプラグインエフェクトになります。
iZotopeのEQ
iZotopeのEQは、Ozoneに付属しているEQとNeutronに付属しているEQになります。このEQは、アナログとデジタルを切り替えて使用できたり、プリセットから楽器を選ぶだけで、処理を予めしてくれるので、とても使い安いEQになります。
EQを使ったことが無い素人でも、このEQを使用するとどの帯域を削っているのか?どの帯域をブーストしているのかが分かるため、とても勉強になります。
Native Instruments EQ
Native InstrumentsのEQはレトロなEQはもちろん、ハイクオリティなEQなど結構揃っています。ただ、EQで言えば、他のプラグインを頻繁に使用するため、ここでのEQはあまり活躍の場がないかも知れません。
WAVES EQ
WAVESのプラグインは業界標準のプラグインになります。REQやQ10など使いやすいEQがたくさんあり、値段も割安でクオリティーが非常に高いため、一つは持っていても間違いありません。
バンドルになっている物もあるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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