ヴォーカルのミックスをする前に
曲全体のアレンジや構成がきまれば、いよいよヴォーカルの録音や編集に移ります!
しかし、あせってはいけません。
ヴォーカルの処理が甘かったせいで、せっかく作った曲がすべて台無しになってしまいます。
それだけヴォーカルの処理はすごく難しいんです。
ヴォーカルの処理は、ゆっくりと時間をかけて調整するように心がけて下さい。
こんな、処理をすることが難しいヴォーカルを、どのように録音し、調整していくかをこれからみていきましょう!
完成形を想像しながら処理をする
ヴォーカル録音をして、ミックス作業をする前に、完成した曲の方向性を決める必要があります。
激しく歌うのか、バラードを歌うのか、その曲に求められるヴォーカルの完成形を想像して作業をしていきます。
何も決めずに、適当に処理をしていくと、ミキシングをした時に、取り返しのつかないことになってしまいます。
最終どのようなサウンドにするべきか、最初にしっかりと考えて録音やミキシングをするべきなのです。
ジャンルによるヴォーカル処理
ヴォーカル処理の仕方は、ジャンルによって大幅に変わってきます。
適切な処理(こうしなければいけない)という決まりは無いのですが、大体の処理は同じになります。
ロック、パンク、メタル
ロックやパンク、メタルのヴォーカルは、パンチや勢いがある歌い方になるため、アタックを大事にした処理が必要になります。
遅めのコンプで、アタック感を強調しつつ、うっすらとディレイやリバーブをかけて、奥行きを調整します。
生歌やジャズ
生歌やジャズは、クリーンでより生感を出すため、薄めのコンプやイコライザーで処理します。
ポップやR&B
ポップやR&Bは、オケとの調和を考えて、たくさんのエフェクトを使用して、聴きやすく整えます。
このように、ジャンルによっても、処理のやり方が変わってきます。
基本を知ったうえで、自分流にアレンジして処理をしていくと良いでしょう!
ヴォーカルの下準備をする
ヴォーカルトラックの下準備を始めにします。
私なりの調整方法なので、正解はありませんが、参考までに見て行って下さい。
ヴォーカル録音をした素材をまとめる
何トラックか分けて録音した場合、コンピングという作業が必要になります。
コンピングとは、録音したヴォーカルテイクの一番良い部分を抜き出し、一つのトラックにまとめる作業を言います。
ノイズ処理
ヴォーカルトラックに録音したオーディオファイルの下準備を行います。
ヴォーカルトラックに混入した、さまざまなノイズを除去します。
エアコンのノイズや、録音時に混入したリバーブなどを処理します。
処理の時に適用するプラグインは、アイゾトープ社の『RXシリーズ』で処理をするのが良いでしょう。
この『RXシリーズ』は、だいたいのノイズを除去することができるので、もっておくと便利なプラグインになります。
ヴォーカルのピッチやタイミングを処理する
次に、ヴォーカル素材に対して、ピッチがあまい箇所の修正を行います。
Logic Pro のflextime(フレックスタイム)でも処理することができますが、他社製のプラグインで処理することをおすすめします。
ピッチ編集ソフトで有名なのが『メロダイン』になります。
この『メロダイン』でピッチとタイミングを処理することになります。
順番にエフェクトの処理を見ていきましょう!
ピッチ調整
録音したヴォーカルにまず最初にほどこす処理として、ピッチの調整がります。
どんなに上手い人でも、若干のピッチ補正は必要な処理となりますので、録音したデータのピッチを調整していきます。
タイミングの調整
ヴォーカルのタイミングは、ドラムのバスと縦のラインを合わせて処理します。
バスとズレているヴォーカルは、聞いていてとても気持ちが悪いため、ここはシビアに調整していきます。
ヴォーカルのダイナミクス処理
ヴォーカルのダイナミクスを処理します。
声が小さい所と大きな所の差を無くし、聴きやすく整えます。
この下準備をしているか、していないかで音のまとまりが格段に違ってきます。
ここまでがヴォーカルテイクの下準備になります。
ヴォーカルテイクにエフェクトを追加する
ここからは、下準備が終わったヴォーカルに適用するエフェクトを紹介していきます。
イコライザー
はじめに通すエフェクトはイコライザーになります。
このイコライザーの目的は、ヴォーカルのいらない帯域をカットすることにあります。
コンプとイコライザー、どちらが先かと言う議論はたくさんされていますが、コンプを先にかけてしまうと、ヴォーカル成分に必要のない低域までもが持ち上がってしまい、後で処理をするのが大変になります。
なので、先にイコライザーを適用します。
録音環境によっては、いらないノイズがたくさん含まれている可能性があるので、そのいらない帯域をカットする必要が出てきます。
だいたいの録音は、しっかりと調整されたレコーディングスタジオで録音することができないため、不要なノイズも含まれているからです。
部屋で録音すると、部屋の共鳴音が必ず含まれます。
この共鳴音をイコライザーでカットしていくことになります。
共鳴音のカット方法は以下の通りです。
イコライザーのQ幅をマックスまで細くし、ブーストしたイコライザーカーブを低音から高音までスライドさせます。
耳ざわりが悪い音(ポンポン)や(キンキン)する音を見つけ、カットします。
だいたい6dBほどカットします。
それを何ヵ所か探し、それぞれカットしていきましょう。
コンプの処理
コンプの処理をしていきます。
ここでは薄くコンプをかけるように心がけて下さい。
この段階でガッツリとコンプレッションしてしまうと、音が崩れてしまうためです。
ジャンルによって、求める音は違いますが、リダクションが3〜5dBほどかかるように設定します。
あくまでも薄くかけましょう!
ディエッサー処理
歯さつ音をおさえるために、ディエッサーをかけます。
耳障りな『さしすせそ』が無くなるように適用します。
コンプ処理
もう一度、コンプを適用してヴォーカルテイクを整えます。
2段回にわける事で自然にコンプがかかるように設定していきます。
イコライザー処理
最後にイコライザーをかけて求めているヴォーカルの音に近づけます。
センドで使うエフェクト
次に、センドを使用してリバーブやディレイ、ダブラーなどをかけて奥行きを付け加えていきます。
設定方法も人それぞれですので、自分なりの設定を試してみて下さい。
また、使う素材により設定も変わってきます。自分の耳で確認しながら適用することをおすすめします。
リバーブを適用する
ヴォーカルで使うリバーブは、プレートリバーブを使用します。これはなんでもいいんですが、プレートリバーブが一番合います。
ただ、好みにもなりますので、参考までに。
ディレイを使う
ディレイはうっすらとポンピングディレイで処理しますが、これも素材や楽曲によりまちまちですので、かけてみて良いと思えば使ってみる。そんな程度でいいでしょう。
イメージャーやダブラーなど
イメージャーやダブラーなどを使い、ヴォーカルにはりや活気を付け加えます。
ヴォーカルミックスのまとめ
ボーカルのミックスは、多分一番難しいのではないかと思っています。
楽曲と馴染まなかったり、声が聴こえなくなったりと、大変面倒がかかるヤツです。
適切な処理というのはないのですが、最終求めている音にするには、やはりかけるエフェクトを考えて適用することが大事です。
いろいろと研究をして、自分なりの編集テクニックを磨いていって下さい。
それではまた。
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