DCオフセットとは

DCオフセットとは何か

みなさんは、DCオフセットという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

DAWをしていると、このDCオフセットを知らないわけにはいきません。

DCオフセットを無視して音声や信号を混ぜてしまうと、後で修正しようとしてもDC成分を取り除くことができなくなります。

つまり、最終的な出力に直流(DC)の成分が残ってしまいます。

DCオフセットを除去することは、問題を未然に防ぐために重要です。

そのためには、DCオフセットに関する知識を学び、適切に対処する必要があります。

本日は、DCオフセット(Direct Current Offset)について見ていきます。

本題のDCオフセットとは何か?

DCオフセットとは、直流(DC)成分を意味し、オーディオ信号に含まれる直流成分のことを指します。

DCオフセットが存在すると、音声信号が非常に大きくなる場合があり、音声信号のクリッピングやデバイスの動作不良を引き起こす可能性があります。

LogicProでは、DCオフセットを制御するために、DCオフセット機能が提供されています。

この機能を使用することで、オーディオ信号から直流成分を除去することができます。

DCオフセット機能を使用すると、オーディオ信号の振幅を調整することができます。

この機能は、信号の振幅が非常に大きい場合に有効です。

DCオフセットを調整すると、信号が正確にレベル調整され、クリッピングが発生することがなくなります。

LogicProのDCオフセット機能は、オーディオ信号を自動的に除去する機能も提供しています。

この機能を使用すると、オーディオ信号から直流成分を自動的に検出して除去することができます。

これにより、信号がクリッピングすることなく、正確にレベル調整されることが保証されます。

音のオーディオ波形データは、真ん中の0を中心として上側の波(+側)と下側の波(-側)に波のように上下しています。

この上下を繰り返している波は、上側と下側が同じ等量(平均した中心がちょうど0になるように)がいいのですが、録音環境や使用する機材、電気的な影響や加工の方法などが原因で、上側の波形と下側の波形が均等でなくなる場合(中心が0からズレてしまう)があります。

オーディオ信号に直流成分の(DC)が乗ってしまうからです。

この結果、波形の中心部分が上側にずれてしまう現象が起きます。

この『0』から上側にずれてしまった状態を『DCオフセットがある』と言います。

Logic Proでは、オーディオ・ファイル・エディタで確認することもできます(やり方は後で解説します。)

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DCオフセットがズレるとどうなるのか?

上の図を参照してもらえばわかるように、オーディオ信号が上側にずれているため、(点線で現したオーディオ信号の中心がプラス側にずれている)このまま、このオーディオ素材を使用すると、ダイナミックスを無くす恐れがあります。

またオーディオ信号が大きくなってしまうと、ずれた方の信号が本来よりも早くクリップを起こしてしまい、歪みが発生してしまいます。

この少しの歪みがスピーカーなどに悪影響を与えてしまいます。

これからミックスしていこうとしているオーディオ素材を扱うときには、あらかじめDCオフセット除去を行う必要があるのですが、DCオフセットを除去すると、全体が上下に移動してしまい、オーディオ信号の入り口と出口でゼロクロス(中心にピッタリと合わなくなる)ではなくなり、クラックルノイズ『プツプツ音』の原因になってしまいます。

クリッピングをさせると何故よくないのか?

クリッピングとは、信号の振幅がデバイスが扱える最大振幅を超えることにより、波形の一部が切り取られる現象のことを指します。クリッピングが発生すると、波形が歪むため、音質が悪化します。具体的には、高音域が切り詰められたり、低音域が歪んだりすることがあります。

さらに、クリッピングが長時間続くと、デバイスの保護回路が作動し、デバイスが壊れることがあります。また、スピーカーやヘッドホンなどの音響機器にも悪影響を与え、長期間クリッピングが続くと、音響機器自体がダメージを受けることがあります。

さらに、クリッピングによって発生する高周波成分やノイズが、周辺機器や他の信号に影響を与える可能性もあります。そのため、クリッピングは、音質や機器の寿命に悪影響を与えるため、望ましくありません。

そのため、オーディオシステムの設計や操作において、クリッピングを防止する対策を取ることが重要です。適切なレベルの設定や、信号処理の技術によって、クリッピングを最小限に抑え、より高品質なオーディオを実現することができます。

DCオフセットがある場合の影響

DCオフセットが除去されていないとどのような影響があるのでしょうか。

考えられる影響は、DCオフセットがかかった状態で音を再生するとダイナミックレンジが低下してしまいます。

また、クラックルノイズ『プツプツ音』がオーディオ信号に乗ってしまい、耳障りなノイズが乗ってしまいます。

ミックスをした後では、このDCオフセットを除去することができないため、各素材の段階で一つずつDCオフセットの除去をすることをおすすめします。

DCオフセットの除去のやり方

それでは、DCオフセットの除去をやってみましょう。

まず、オーディオトラックを選択してオーディオ波形をエディタ画面に出します。

出し方は次のようになります。

1、オーディオリージョンをダブルクリックする。

2、画面左上の方にあるエディタボタンを押す。

3、ショートカットキーの『E』を押す。

これでエディタ画面を開けます。

エディタ画面を開き、『ファイル』を選択します。

『機能』から『DCオフセットを削除』を選びます。

「DCオフセットが見つかりました」と出てくるので、『削除』を押します。

今回は、0.003%のDCオフセットがありましたが、音源や素材によってパーセンテージは変わってきますので、削除していってください。

Logic ProでDCオフセットを除去する時の注意点

LogicProでDCオフセットを除去する際には、以下の注意点に留意する必要があります。

  1. DCオフセットの除去は、信号処理の適用範囲を正しく理解して行う必要があります。DCオフセットを除去するために必要な処理は、オーディオ信号の周波数スペクトルに影響を与えるため、周波数領域での信号処理が必要となります。
  2. DCオフセットを除去するための処理は、周波数スペクトル上の低周波成分をフィルタリングすることで行われます。しかし、適切なフィルタリング設定を行わないと、信号の高周波成分が失われる可能性があるため、十分な検討が必要です。
  3. DCオフセットを除去する際には、オーディオ信号に含まれる直流成分を正確に検出することが必要です。これには、信号の最小値を正確に測定することが必要です。測定には、DCオフセットを計算するためのツールを使用することができます。
  4. DCオフセットを除去する際には、音量の上下変動に留意する必要があります。DCオフセットを除去することで、信号のレベルが変化する可能性があるため、十分な検討が必要です。
  5. DCオフセットの除去は、信号の周波数特性に影響を与えるため、除去する必要がない場合には、処理を行わないように注意する必要があります。

以上が、LogicProでDCオフセットを除去する際の注意点です。DCオフセットの除去は、正確な処理が必要なため、慎重に行うことが重要です。

DCオフセットまとめ

今回はDCオフセットの概念を見てきました。

意外と気がつかないDCオフセットですが、オーディオにDC成分がある場合には、クリップノイズやスピーカーを痛めてしまう可能性があるので、できる限り除去していくのがいいのではないでしょうか。

また、ミックス後にDCオフセットはできないことも覚えておきましょう。

除去した後でも、クラックルノイズ『プチプチ音』が発生する可能性があるので、最後まで気を抜かずに取り組んでいきましょう。

それではまた。